学生の声

籔本器さん(第一期生)

必修ゼミでは、古今東西の様々な文献を購読しその基礎にある思想を理解した上でプログラム生の間で議論を発展させることができる。私の履修した2020年度Sセメスターのゼミでは、西洋・東洋の文献だけではなく時には日本の古典作品をも扱ったため、地域概念としての東アジアを超えて複眼的な視点から過去の思想に関する思索を深め、現代社会における諸問題に応用することができた。

東アジア教養学プログラムには学生がより主体的に活躍できる企画もある。中国で近年注目されている政治学の概念である「天下概念」についてまとめられた最先端の論文を輪読し、これを日本語に翻訳するという企画が学生主導で進められている。この実践を通じて参加学生は、中国語の能力を向上させることができるのはもちろんのこと、中国政治学という学問資源を最大限活用することで新たな視点に基づいて自らの知見を深めることができた。


円光門さん(第一期生)

このプログラムの特徴は、何と言ってもその多言語性にあると思います。授業や集中講義における議論では日本語、英語、中国語が状況に応じて使い分けられ、扱う文献も一つの言語に統一されることはありません。通常の文献講読のゼミでは、どの訳のどの版のテクストを使うかということが予め指定されますが、ここではむしろ受講生がそれぞれ読んできた訳語の差異を楽しむことの方が求められると言ってもよいでしょう。

このプログラムにおいては、単一性が複数性に、同一性が差異性に、そして大学がuniversityからdiversityになることが目指されるからです。しかし、かといってテクストそのものにこだわることの重要性が軽視されるわけでは全くなく、むしろその逆で、プログラムの必修授業である東アジア教養学理論と東アジア教養学演習では、比較文学がご専門の王欽先生と哲学がご専門の張政遠先生という二人の素晴らしい先生方からテクストに対する向き合い方を徹底的に伝授されます。特に、東アジア教養学理論では毎回異なるゲストの先生方が王先生や張先生と特定のテクストについて議論を展開するので、受講生はこうしたプロフェッショナル同士の熱い対話の中で醸成される生き生きとしたテクスト読解の実践を目撃することとなるのです。


孔徳湧さん(第一期生)

本プログラムでは必修授業として毎週2回の講義並びにそれに基づいて学生と先生で自由に議論するセッションが2回、合計4回の授業が行われる。毎回の講義で本を一冊扱うため、週に本を2冊読む、全部読めなくてもある程度要点をつかまねばならない。つまり膨大なインプットを行った後に、その内容を自分なりに考え、それをアウトプットする機会が週に2度もある。しかも、言語は英語がメイン。多くの人が想像する通り、これはかなり大変である。

なぜこんな大変なことをするのか。思えば、多くの人は大学に入るまでは勉強に時間を費やし、大学に入ってからはサークルなど様々な活動に時間を費やすようになる。我々は常に何か活動することで現実にコミットするが、その中で勉強する意味とは何であろうか。太宰治はかつて勉強で大事なのは、「カルチベートされること」、つまり心を耕し広くするということだといった。そして、勉強で覚えたことは全部忘れてしまってもよく、「その勉強の訓練の底に一つかみの砂金」が残っていれば良いという。勉強することを通じて自分の心の底に残った一つかみの砂金を、我々は思考によってたえず磨き上げ、他者との交流の中でその砂金を他者にも共有し、他者からその人の砂金をもらう。そう思うと、EAAの週4回の「大変な」授業はまさにこのプロセスを日中英の3ヶ国語をまたいで高速で行う究極的な「カルチベートされる」ためのプログラムである。

加えて、EAAを通じて東アジアから新しい普遍を考えたいと先生方はいう。東アジアから普遍を考えるという誰も答えを出したことがない未知なテーマに向けて大学の先生と学生と共に挑むことによって得られる「砂金」はすこぶる特別なものであろう。本プログラムへの皆様のご応募を心よりお待ちしております。


熊文茜さん(第一期生)

EAAは他のどのプログラムとも違う。必修ゼミがあり、集中講義があり、北京大生との交流もあり、かなり包括的だ。この一年間の中で演習の授業、それから集中講義は頭の方に参加することができたが、そこでの感想についてここでは綴ろうと思う。

まず、演習の授業は先生の講義とその後のTAセッションの2パーツで構成されている。その週の課題図書を読み、それについての先生の解釈、解説を最初のパートで聞くことができ、後のパートでは自分の感想に対する学生の反応、他の学生の解釈などを聞くことができる。そこで毎回そのテキストについて自分が読めていなかった箇所や、誤った解釈、偏った解釈をしている部分を知ることができた。

夏に行われた北京大生との集中講義に関しては最初だけ顔を出して、残りはチームの中の調整役に徹した。北京大生の頭の良さ、それからプログラム生とも更に親睦を深めることができた。

このプログラムでは人とのつながりと知性の向上とが密接に繋がっていると思う。自分一人で学べるものは限られているが、他者との交流の中でその学びが磨かれ、昇華していく。この一年間多くの学びがあったがこの気づきが最も大きな収穫だ。これからどんな道に進もうとも、この姿勢を大事に励みたい。


金城恒(第一期生)

EAAの必修ゼミでは毎週一冊、古典として位置付けられるテキストを読みます。テキストを読んでいると、いま自分が持っている社会あるいは自身に対する問題意識を何十年も前に既に持ち、かつ真剣に考え抜いた人がいるということに気付かされます。そして、そのテキストを土台としてプログラム生と議論することを通じて、一人で考えるより遥かに開かれた物の見方ができるようになったと思います。

また、多言語性もこのプログラムの重要な特徴です。EAAでは日・英・中の三言語を使います。英語ができる、中国語ができるという言語の運用能力とは全く別の問題として、私は日本語という母語の枠組みの外に出ることには非常に意味があると思います。日本語の中で生まれ育ち、普段日本語で思考している私は、英語や中国語でテキストを読み、相手の意見を聞き、そして自身の考えを表現することを通して、母語の枠組みの中にいては考えもしなかったような多くのことに気付かされました。

私にはこの1年間、EAAのプログラムを通じて自分の世界が広がったという感覚が確かにあります。皆さんもEAAのプログラム生になりませんか?