学生の声

第三期生

石川禎子さん

EAAは、自分とは全く異なるバックグラウンドを持ち、興味分野も多様な仲間と出会い、ともに成長しあえる場です。必修のゼミは学生らが考えを自由に発表して議論を重ねる場となっており、学科の学習や研究だけでは身につかなかったであろうしなやかな発想を得て、視野を広げることができます 。私の関心のある分野は日中関係で、今まで国際関係論や中国関係の授業を履修することが多かったため、一つ分野の知識・考えばかりを深めていましたが、EAAの仲間から哲学や経済など全く専門外の分野の視点を知ることで、自分の考えに以前よりも深みが出てきたように感じます。

また、EAAの素晴らしい点は、希望すれば北京大学の元培学院に一学期間留学し、東大とは異なるフレームワークで学ぶことができることです。元培学院の必須授業「东亚人文社会经典(東アジア人文社会古典)」では、曽国藩の『原才』や毛沢東の著作などEAAの必修で読む文献とはまた毛色の異なるものを多数読み、ゲストスピーカーの先生の講義を聴きつつ、先生・学生が一体となって議論し理解を深めます。元培学院の学生は必修の授業以外はどの学部・学科の授業でも基本的に自由に履修できますので、私は中国政治概論や中国古典などの授業も受講しました。それらの授業で中国独自の視点を知ることは刺激的でした。例えば、中国政治概論の授業では「中国は秦の時代には今のEUの形態を作り上げている」という見方が紹介され、恐らく自分が東大で学んでいるだけでは触れることのなかった考えですが、面白い見方だと感じました。北京大学での学びは、私にとって大変貴重な体験です。


川戸健太竜さん

東アジア藝文書院(EAA)の存在を知り、EAA-Youthに応募しようと思い立ったのは、EAA院長の中島隆博先生と、哲学者のマルクス・ガブリエル氏の対談である『全体主義の克服』を読んだ時でした。哲学のフロンティアを見据えるお二人は、閉鎖的な世界を切り開く新たな「言語」の可能性について語っており、心を撃たれました。自分が見ている世界が言語によって構築されているということを自覚して初めて、また違った世界について考えることができます。そして、言語を用いて世界を表現し、語り合えることの限界に挑戦する哲学の営為は、本当に魅力に溢れていると感じます。

EAAではそういった哲学の魅力を体験することができると自信を持って言えます。学部生から大学院生、一流の教員の方々が同じ部屋に集まり議論する機会は滅多になく、多岐にわたるイベントや授業を通して多くを学ぶことができます。また、哲学・思想がメインテーマではありますが、その対象は社会現象やテクノロジーなどにまで及び、各分野が協奏する駒場のリベラルアーツが実践されています。そして何より、様々な人たち・テーマに溢れたEAAは偶然性に開かれた学び場であり、各々にとっての新しい思想との出会いが待っているだろうと思います。


夏 夢琦さん

私は EAA プログラムに参加し、大学時代に中国と日本の両方を経験する機会を得ることができました。EAA プログラムでは、「書院」という言葉が示すように、何を学ぶのかを自由に決められます。また、毎月のユースミーティングでは、研究や悩みを共有し、異分野の学生と交流する機会も得られます。

また、コロナ禍の影響で両国間で留学することが難しい状況の中、EAA は東京大学・北京大学双方の学生にお互いの学校で勉強する機会を与えてくれました。日本に留学していた私にとって、中国の大学も未知の世界であり、EAA のプログラムを利用して 3 年ぶりに中国に戻ったことで、新たな体験を得ると同時に、逆カルチャーショックを受けました。中国と日本の違いや共通点について、より深く理解することができました。日中両国の間に「求同存異」の前提としては、「同じこと」と「異なること」を知るこが求められます。これは EAA が「リベラル・アーツとしての東アジア学」を進める上で念頭においていることの一部だと私は考えています。私に日中両国で学ぶ機会をもたらしてくれた東京大学・北京大学及び二つの高校、そして、日本での留学生活を支えてくれた国際交流基金とヒロセ財団のおかげで、勉学に集中できたことに感謝いたします。EAA に参加する間に、両国の共通点と相違点により多く触れ、思索を巡らし、東アジアの一員としての見方を養うことができればと思います。


杜 洋霆さん

East Asian Academy for New Liberal ArtsはEAAとして略されているが、New Liberal Artsの部分もEast Asian Academyと同じく大切だと考える。東アジアでのリベラル・アーツではなく、リベラル・アーツとしての東アジア学を構築する研究、教育プログラムである。名前から東洋と西洋、古典と近代、官学と私学の融合が感じられる。古典と近代の自由七科にとどまらず、それを基礎として30年後の未来に必要とされる学問を探そうとしている。

プログラムの国際性が日本語、中国語と英語をともに使うことで表されているだけでなく、たとえ英語だけが使われる授業でも、違った国家又は地域と世代の人の英語が聞こえるので、外国の情報を少なからず得ることができる。さらにユースミーティングの3分間トークで他の学科の知識と活動を知ることができ、30年後の未来に大切と思われる学際性も重んじられている。

自分は自然環境や資源に関わる分野を学んでいる。それゆえ、環境問題のような解決するには、国家、分野および世代間の協力が不可欠となるような機会がますます増える事になると考えている。この三つのバリアが、EAAの中ではむしろひらめきの源となり、知識と発想が満ちた環境で自分と自分の専門分野の新しい可能性を発見することが、このプログラムの魅力と意義のあるところだと思う。