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中国社会文化学会2019年第2回例会 歴史学のなかの「南京事件」

中国社会文化学会2019年第2回例会 歴史学のなかの「南京事件」

中国社会文化学会2019年第2回例会(EAA共催)

歴史学のなかの「南京事件」

【講演者】

孫江(南京大学)

【日時】

2019年11月15日(金)17:00~18:30

【場所】

東京大学駒場キャンパス101号館1階11号室

【言語】

日本語

【概要】

歴史学は過去の「不在」を前提とする学問であり、歴史研究者はつねに限られた証拠に基づいて合理的推理によって過去の「実在性」を証明するという難問に直面している。1937年12月13日に中国国民政府の首都南京が陥落した後、日本軍による虐殺事件、いわゆる「南京事件」が起きた。この「南京事件」をめぐる論争が今日まで続いているのは、政治的・倫理的な要因の他、歴史学という学問が抱える根本的な難問と関わっている。往々にして集合的単数(Kollecktiv-Singular)に着目したこれまでの研究と異なって、ある農婦に対する日本兵の暴行事件を扱う本講演は、被害者(農婦)と加害者(歩兵第三十三聯隊中尉天野郷三)、日本軍の最高司令官松井石根、アメリカの領事官アリソン、および南京自治委員会会長陶保晋などの関係者が残した「痕跡」や「証言」に基づいて、事件の真相を究明し、アライダ・アスマン(Aleida Assmann)やポール・リクール (Paul Ricoeur)が提起した記憶・忘却に関する理論との対話を試みる。