ブログ
2024.02.29

【報告】明治思想史共同研究会(1)

 2024131日(水)午後、明治思想史研究会(仮)の第1回ワークショップはEAAセミナー室で開催された。本研究会は片山潜や堺利彦をはじめとする近代日本社会主義思想・運動の研究に携わっている大田英昭氏(東北師範大学)と、木下尚江らキリスト教者を通じて明治キリスト教史における国家と女性の語り方を研究している鄭玹汀氏(東北師範大学)を迎え、明治時代(1868-1912)の思想・言論を中心に共同研究を行うものである。初回の会合では、参加者の研究関心および今後の進め方をめぐって意見交換をした上で、郭馳洋(EAA特任研究員)が発表を行なった。郭は明治日本における新神学の伝来と聖書批評の受容が当時のアカデミズムの言説にもたらした変化を跡づけた。それに対して、大田氏は発表で言及された久米邦武「筆禍」事件に注目し、国史研究・国体論における「批評」の(不)可能性を問った。鄭氏は高等批評に対する木下尚江の関心、明治期の人物伝記におけるイエス伝の影響を指摘した。その後、宗教の倫理化と超越性の変容、陽明学と修養論、歴史学の批判性といった問題も提起され、熱い議論が交わされていた。今回のワークショップは、いわゆる聖典に対する批判的なアプローチの背後にはつねに新たな聖典化が発生するという、現代世界を理解する上でも見落としてはならない事態を考える濃密な時間となった。

(左から:鄭氏、大田氏、郭)

報告:郭馳洋(EAA特任研究員)
写真:髙山花子(EAA特任助教)