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2024.03.26

【報告】第23回東アジア仏典講読会

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2023年5月13日(土)14時より、第23回東アジア仏典講読会をハイブリッド形式にて開催した。今回は土屋太祐氏(新潟大学准教授)と小川隆氏(駒澤大学教授)により、それぞれ『宗門十規論』と『宗門武庫』の講読がなされた。

 

 

土屋氏は『宗門十規論』の第九・十章を講読してくださった。第九章では、禅門の歌頌は然るべき目的のために作られるものであり、すぐれた文飾を要すると述べたうえで、思いのままに粗野な言葉を用いるのが良いと思いなす当時の禅僧を批判している。第十章では、禅宗が一見繁栄しているものの真理のために修行する者が殆どいないことを指摘し、将来の人に向けた戒めとしている。

 

 

小川氏は『宗門武庫』の第11段、薛大頭と真浄克文の話を講読してくださった。『宗門武庫』は大慧宗杲の語った禅林の逸話を集録したものであり、その大慧から高く評価された禅僧が真浄である。その真浄が曽て修行僧であったころ、谷隠山に住していた禅師の薛大頭に見え問答をしたが、けんもほろろに拒絶されてしまった。その記述に鑑み、これは薛大頭の勝れた力量を称える逸話であろうと分析された。

『宗門十規論』は第14回(2022年9月)以降講読を続けてきたものであり、今回その全文を読み切ることができ、禅宗史の展開を考えるうえで重要な時期である五代十国時代について理解を深めることができた。次回からは大慧の思想理解の解像度を高めるべく、その著作を読んでいく予定である。

 

報告者:柳幹康(東洋文化研究所)