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EAA/ TLPセミナー
言語使用頻度が成人学習者の文理解過程を影響するか
ー主要部後置言語の関係節の構造的曖昧性構文の処理を中心にー

言語使用頻度が成人学習者の文理解過程を影響するか  ー主要部後置言語の関係節の構造的曖昧性構文の処理を中心にー

【日時】2022年12月22日(木)12:45~14:15

【場所】駒場キャンパスEAAセミナー室(101号館11号室)

【言語】日本語

【講演者】TLP白春花先生

【対象】TLP生、EAA生、大学院生、教職員

【概要】
第二言語習得分野の文理解を対象とした研究では、成人の第二言語学習者が目標言語の文をどのように理解しているのか、まだ一致した結論が得られていない。学習者は文を理解する際、語彙の意味や文脈情報となった言語情報を母語話者と同じように用いて文構造の理解を行っていることが明らかとなる(例:Frenck-Mestre 2002,Juffs 2004)一方、統語情報の処理については母語話者と学習者の間で異なることが示されている(例:Clahsen & Felser2006)。本発表は三つのパーツからなる。まず、問題提起として、先行研究の分析、まとめを行い、さらに、“バルコニーにいる女優の召使いは…”のような関係節の構造的曖昧性構文の文理解の研究が上述の問題をどのように解決していくのかを分析する。次に、実験紹介を行う。主に、関係節の主要部後置言語となる日本語、中国語、トルコ語母語話者、そして、母語がそれぞれ中国語、トルコ語となる日本語学習者を対象に、彼らの関係節の構造的曖昧性構文の処理プロセスに着眼して行った質問紙調査及び実時間読み実験を紹介し、学習者は母語話者と同じような文法知識を持っていながら実時間上の処理においては、それらの情報の使い方は目標言語話者と異なり、学習者に特徴的な文理解プロセスがあることを示す。最後に、結論部分として、その学習者に特徴的な文理解プロセスには目標言語の使用頻度が影響している可能性を検討する。

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