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戦後50年+30年としての現在から、世界に言葉を与える

戦後50年+30年としての現在から、世界に言葉を与える

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戦後50年+30年としての現在から、世界に言葉を与える

日時:2025年8月2日(土) 14-16時半

場所:東京大学駒場キャンパス18号館ホール

高橋哲哉(東京大学名誉教授) 「来たるべき「戦後」について」
三牧聖子(同志社大学) 「戦後秩序を否定するアメリカー日本の選択」
須藤輝彦(東京大学) 「距離の問題ーあるいは戦争と批評」
伊達聖伸 (東京大学) 司会

趣旨
 今年は戦後80年という節目の年に当たります。冷戦からポスト冷戦の時代へ、そして近年ではポスト冷戦の国際秩序も崩れてきたと認識されつつあります。この間、日本は平和憲法の下で戦争しない姿勢を維持してきましたが、米国との同盟関係や国際貢献の名の下で、戦争と無縁ではいられなかった事実も否定できません。現在、私たちはいかなる世界に生きており、いかなる課題に向き合うべきなのでしょうか。
 本シンポジウムの特徴は、戦後80年を「50+30年」に分解してみることです。戦後50年に当たる1995年は節目の年でした。1月には阪神・淡路大震災、3月にはオウム真理教による地下鉄サリン事件が起きました。8月15日の終戦記念日には村山富市首相が談話を発表し、日本による「植民地支配と侵略」の歴史を認め、「痛切な反省」と「心からのおわび」を公式に表明しました。戦争の記憶が問い直され、「慰安婦」問題も大きな論点になりました。9月には沖縄で米兵が少女暴行事件も起こしています。
 この戦後50年の節目の年は、論壇でも「事件」がありました。文芸評論家の加藤典洋が『群像』1995年1月号に「敗戦後論」を発表し、敗戦にともなう「ねじれ」と死者の哀悼の問題を論じました。これに対し、高橋哲哉が同誌3月号に「汚辱の記憶をめぐって」を発表し、重要な論争に発展したのです。
 本シンポジウムは、このときの論争をひとつの糸口として、現在の状況を読み解くことを目指すものです。そこには、1995年の戦後50年を有力な参照軸とすることによって、うまく照らし出すことができる戦後80年という現在の輪郭があるだろうという見通しがあります。当時と現在を行き来する形で、連続している問題とその変化、そして新しい課題が見えてくるものと思われます。

協力:上廣倫理財団、東アジア藝文書院