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本シンポジウムは、人文社会科学と開発実践のつながりを改めて紡ぎながら、「戦後」日本の開発協力を捉える視座を捻出することが目的である。学問、政策、実務——それぞれの現場からの対話を通じて、複合的な危機の時代における知的資源の動員を試みるとともに、規範的な問いへの応答にも踏み込みたい。
日本の開発協力は、概ね「戦後」という断絶的な時間軸において語られてきた。だが、その実態は、戦前期の空間編成や思惟様式、さらには地域への関与の形態と緩やかな接続を保ちながら、新たな形を与えられてきた変貌する連続性の産物でもある。近代化を推し進める装置であり、アジアへの関与を可能にする回路であり、そして市民的実践が展開される場などといった「戦後」日本の開発協力が担ってきた多重的な機能を丁寧に読み解くことなしに、その意味を問うことはできない。
本シンポジウムでは、歴史学・思想史・開発研究の立場からの検討を軸としながら議論を展開する。開発協力をめぐる物心両面の構造形成という観点からその連続性を捉えつつ、「戦後日本」という時空間の意味を再考し、さらに現場の視点からその変貌に目を向ける。複数のリアリティが入り混じる今日の世界において、単一の視点や立場からの「正しさ」だけでは捉えきれない現実をどう考えるか。本シンポジウムは、登壇者と来場者の皆様と共に、その複雑さを引き受けながら、いかなる「開発協力」の学び方・語り方・行い方がありうるのかを探っていく。
秩序が揺らぎ、自他の境界が問われる今日だからこそ、「日本的経験」を捉え返すことには意味がある。それは、開発協力を胡散臭く擁護することでも、冷笑的に批判することでもない。開発協力の経験のなかから新しい批判の言葉と希望のかたちを紡ぎ出すこと——本シンポジウムはその試みである。
日 時:2025年3月26日(木)13:30-16:30 (開場:13:00)
場 所:東京大学駒場キャンパス18号館ホール(参加登録はこちら)
プログラム(詳細は後日公開)
【講演者】
中野 敏男 (東京外国語大学)
市川 紘司 (東北大学)
佐藤 寛 (開発社会学舎)
【コメンテーター】
稲場 雅紀(アフリカ日本協議会)
米山 泰揚(世界銀行元駐日特別代表)
【ラウンドテーブル 】
上記の登壇者
張 政遠(東京大学)
大山 貴稔(九州工業大学)
崎濱 紗奈(東京大学)
汪 牧耘(東京大学)
【総合討論・質疑応答】
主 催:東京大学東アジア藝文書院(EAA)
共 催:国際開発学会・「開発論の系譜」研究部会