若手研究発表支援:OTTAWA CONFERENCE 2020

この度、東アジア藝文書院での若手研究発表支援に採択を頂き、マレーシアで2020年2月28日に開催されたIAMSE Meetingおよび2月29日から3月4日にかけて開催されたOttawa Conference 2020にそれぞれ参加した。今回参加したOttawa Conferenceは、Dundee大学のRonald Harden教授とOttawa大学のIan Hart教授が、臨床能力の評価について異なる国からの多様な意見を交換できる場を作ろうと国際学会の設立に踏み切ったのがきっかけで発足した学会である。本年はコロナウィルス感染の影響もあり、例年に比べ参加者が少なく、全体では400人程度の参加者であった(参加登録総数は800人)。その一方で、Webinar(Web Seminar)を通じて、世界各地から数多くの医学教育者が本学会に参加しているのが印象的であった。

同学会において、私は在学中の海外実習の経験が医師としてのアイデンティティー形成にどのような影響を与えるかという研究についてのポスター発表を行った。質疑応答を含め約10分程度の発表時間であったが、参加されていた欧米およびアジア諸国の先生方から様々な意見を頂くことが出来た。同研究については現在、論文投稿を行っているが、その際にも今回頂いた意見を生かして修正を行いたい。また、カンファレンスでは、医学教育の評価に関連する数多くのセッションに参加したが、各大学において独自の理論を用いた研究や評価手法を採用している点が印象的であった。医学教育に関する評価研究は欧米での研究が先行している印象があるが、アジアの文脈においてどのような調整が必要であるかをワークショップ内では議論することが出来た。アジア開催ということもあり、同学会では評価の文化的な側面について議論される機会が多かったのが非常に印象的であった。

一方、Ottawa Conference開催にあたり共催されたIAMSE Meetingというカンファレンスではワークショップを担当させて頂いた。こちらのワークショップでは、低学年の医学生に対して医師としてのプロフェッショナリズム教育を各国でどのように実践しているのかというテーマについて、香港、韓国、台湾、英国の医学教育者らとワークショップを共催した。ワークショップの参加人数は10名程度であったが、本ワークショップ中の議論を通じて、医学生に対するプロフェッショナリズム教育には各国共通して抱えている問題があることがあきらかとなった。同ワークショップの内容に基づき、ワークショップを共催した医学教育者らと論文を投稿する予定となっている。

今回の出張を通じて、アジア諸国をはじめとする医学教育者らと充実した議論を行うことが出来た。また、今回発表を行った内容に基づき、論文投稿の際にも有用な知見を得ることも出来た。このような貴重な機会を提供して頂いた東アジア藝文書院若手研究発表支援に心から御礼を申し上げたい。また、この機会を通じて、将来的にも多くの若手研究者の国際的な交流が行われ、国内における研究活動が促進されていくことを切に願う。

報告者:林幹雄(大学院医学系研究科)