第1回日中韓オンライン朱子学読書会

8月15日(土)日本時間16時より、第1回日中韓オンライン朱子学読書会が開催された。この読書会は、日中韓の若手朱子学研究者が集い、日本語や中国語で刊行された代表的な論文や著作を、その著者自らが紹介し、自由に討論するものである。EAAのほか、清華大学哲学系、北京大学礼学研究中心、科研費基盤研究(B)「グローバル化する中国の現代思想と伝統に関する研究」との共催である。

初めに司会の趙金剛氏(清華大学)より、読書会の趣旨について説明がなされた。朱子学に関してはこれまでも、様々な規模の国際学会が行われているが、若手研究者が企画し、積極的に研究交流を行う機会はあまりなかった。また、中国の研究者にとって、日本で出版された朱子学関連の研究書で、翻訳されていないものを知ることは難しかった。とりわけ、若手研究者が自身の博士論文をもとに刊行した著作には、最新の研究成果が含まれているはずだが、中国の研究者にとっては語学の壁があり、アクセスしにくい状況にある。このように、オンラインで月1回程度のペースで顔を合わせ、相互の研究成果を伝え議論する機会を持つことで、東アジアの朱子学研究のさらなる前進を期待することができるのではないか。

第1回の報告は田中有紀(東京大学)が担当し、「朱子学の音楽論」というタイトルで、2018年に刊行した『中国の音楽思想:朱載堉と十二平均律』の一部を紹介した。朱子学の音楽論への漢学の影響、度量衡史の考証と音楽の正統性との関係、朱子学における音楽の道徳性、「理論」と「実践」の関係をどのように考えるか等、活発な議論が行われた。様々な立場で朱子学を研究している参加者からの質問は、報告者が今まで気づかなかった多様な視点をもたらしてくれた。

今回の参加者は、日本から5名、韓国から1名、中国からは20名以上であった。日本側の参加者も、普段は東京・京都・兵庫と様々な地域で研究活動をしており、初めて顔を合わせるメンバーもいた。司会者・報告者も含め、参加者の多くは、何らかのかたちで北京大学・哲学系で学んだことがある者である。現在、博士課程に所属している学生の参加者もいた。報告者個人としては、学生時代に机を並べて学んだ同学たちと再びこのような読書会を持てるのは大変嬉しく、また、同学たちの、博士課程修了後から現在に至るまでの進歩を感じられて、非常に頼もしく思った。8月15日という日に、日中韓の若手研究者が集い、忌憚のない意見を述べ合えるということも、大変意義深いことだったように思う。

報告者:田中有紀(東洋文化研究所准教授)