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環境正義 平等とデモクラシーの倫理学

環境正義 平等とデモクラシーの倫理学

『環境正義 平等とデモクラシーの倫理学』が勁草書房より刊行されます。本書の第8章を総合文化研究科准教授でEAAメンバーの佐藤麻貴氏が翻訳しました。

 

勁草書房ウェブサイトより

環境正義 平等とデモクラシーの倫理学

K.シュレーダー=フレチェット 著
奥田太郎、寺本剛、吉永明弘 監訳

【内容紹介】

原子力問題やリスクの研究で大きな業績を残しているシュレーダー=フレチェットの主著の一つ。環境正義について、平等、財産権、手続き的正義、インフォームドコンセント、世代間の公平、正当な補償といった概念を事例を通して説明し、環境をめぐる不平等を是正するための理論と実践を示す。環境正義を論じる際の必読文献である。
【原著】Kristin Shrader-Frechette, Environmental Justice: Creating Equality, Reclaiming Democracy(Oxford University Press, 2002)

【目次】


謝 辞
凡 例

第1章 序 論
 環境保護主義と生命中心主義
 環境保護主義から環境正義へ
 環境不正義を理解する
 本書の概要

第2章 分配の正義、参加の正義、当座の政治的平等の原則
 概要
 〈当座の政治的平等の原則〉と分配の正義
 〈当座の政治的平等の原則〉と参加の正義
 〈当座の政治的平等の原則〉に対する反論
 配慮なき科学の使用がいかに環境不正義を助長しているか
 立地をめぐる連邦統制と地方統制の対立─公平性と効用の釣り合いをとる
 事例研究
 結論

第3章 アパラチア地方の人々、土地へのアクセス、手続き的正義
 概要
 第一の議論の舞台:カリフォルニア州の農家
 環境不正義のもう一つの事例:アパラチア地方の農家
 手続き的正義と結果状態原理
 手続き的正義を根拠として資源の所有権の制限を擁護する議論
 資源取引、自発性、そしてロック的但し書き
 土地の財産権を制限するための提案
 土地利用規制論に対する反論
 資源の所有権を制限することについての第二の擁護論
 第二の擁護論に対する反論
 結論

第4章 アフリカ系アメリカ人、現地不承諾土地利用、自由なインフォームド・コンセント
 コールマン師とサウスサイド
 概要
 事例研究:ルイジアナ州ホーマー
 ルイジアナ州への設置は倫理的に正当なものではなかった
 反論と応答:環境面で公正なエネルギー政策
 反論と応答:当該工場に対する経済的なニーズはない
 追記

第5章 公平性と将来世代に対する義務─ユッカマウンテンの事例
 概要
 平等な待遇を支持する当座の論拠
 功利主義に基づく反論
 将来世代に対する義務
 同意と将来の人々
 将来の人々のための正義に影響を与える実践的・法的な考慮事項
 結論

第6章 先住民の人々とパターナリズムの問題
 植民地主義と先住民に対する搾取:シェルオイル社の事例
 概要
 パターナリズム、同意、参加の正義
 メスカレロ・アパッチ族、パターナリズム、廃棄物処理
 環境正義とメスカレロ族
 地理的な不平等、分配の正義、メスカレロ族
 放射性廃棄物問題の歴史
 放射性廃棄物問題に関連する科学
 結論

第7章 リスクのある労働環境、ダブルスタンダード、正当な補償
 概要
 ダブルスタンダード
 歴史的背景
 補償賃金格差理論
 補償賃金格差への反対論
 事例研究:六〇万人の米国エネルギー省労働者
 結論と代替案

第8章 途上国、保護の平等性、道徳的英雄主義の限界
 概要
 社会の進歩論法
 血まみれのパン論法
 同意論法とそれに対する道徳的応答
 経済の現実論法とそれに対する道徳的応答
 環境正義に対する市民の責任
 結論

第9章 行動を起こすこと─環境不正義に対する公衆の責任
 概要
 環境正義の擁護者になること
 偏った社会条件
 環境正義の擁護活動を支持する帰結主義的論拠
 環境正義の擁護活動を支持する義務論的論拠
 環境正義の擁護活動が制限される場合
 具体的なステップ:非政府組織と協働する
 結論

監訳者あとがき
原 注
訳 注
地名索引
人名索引
事項索引
訳者一覧