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伊波普猷の政治と哲学 日琉同祖論再読

伊波普猷の政治と哲学 日琉同祖論再読

EAA特任助教の崎濱紗奈氏が『伊波普猷の政治と哲学 日琉同祖論再読』を法政大学出版局より刊行しました。

 

法政大学出版局ウェブサイトより

伊波普猷の政治と哲学 日琉同祖論再読

崎濱紗奈 著

内容紹介
沖縄学の父、伊波普猷の「日琉同祖論」を日本への同化/日本からの異化という二項対立構造から解放し、脱構築的読解により「政治」を開始するための場としての〈主体〉を導き出す。伊波普猷を読み直すという行為は、伊波が消去しようとした「政治」から出発し、今あるのではない様に、世界を変容させるための方途を摑もうとする営みである。沖縄近現代思想史の核心への果敢な試み。

目次
序章
 はじめに
 第一節 本書の目的
  1–1 脱構築的読解
  1–2 「政治哲学」と〈政治神学〉
  1–3 伊波のテクストの只中において生じる脱構築
 第二節 関心の所在
 第三節 本書の構成

第一章 沖縄近現代思想史における根幹問題としての「主体」
 第一節 伊波普猷という問題──「同化」と「異化」をめぐって
  1–1 戦略的同化主義
  1–2 同化主義批判
 第二節 「政治」と「倫理」
 第三節 「政治」と「主体」
 第四節 伊波普猷の「日琉同祖論」と「政治」

第二章 「政治哲学」としての「初期日琉同祖論」
 第一節 「個性」の領域
 第二節 旧慣温存から土地整理へ──沖縄における資本主義の浸透
 第三節 「辺境」としての沖縄
 第四節 「個性」を配置する「神」

第三章 蘇鉄地獄下における「沖縄人」の再人種化
 第一節 蘇鉄地獄
 第二節 「沖縄的労働市場」と「沖縄人」の再人種化
  2–1 「沖縄的労働市場」と「沖縄人」
  2–2 「擬似エリート層」と「日本人」への同化
 第三節 「沖縄問題」の誕生──「さまよへる琉球人」と沖縄青年同盟
 第四節 沖縄救済論──救済されるべき「対象」としての「沖縄」

第四章 郷土論的展開──純粋無垢な共同体「まきよ」の発見と「稲」
 第一節 資本主義への対抗としての柳田民俗学
 第二節 郷土研究──病への処方箋
 第三節 伊波普猷の「政治」
 第四節 悪い「稲」──原初の租税と奴隷
  4–1 「奴隷制度」の「魔術」的起源
  4–2 原初の租税としての「稲」
 第五節 善い「稲」──純粋無垢な共同体「まきよ」

第五章 記紀神話への挑戦──アマミキヨの南漸
 第一節 〈原日本〉=〈原沖縄〉としての「日琉同祖論」
 第二節 北上説と南漸説──「稲」の来歴
 第三節 「政治」のはじまり──「父」による「母」の征服
 第四節 遠来神の足跡
 第五節 折口信夫の神学

第六章 〈政治神学〉としての「日琉同祖論」
 第一節 「祖先神」と「遠来神」の融合
 第二節 伊波普猷の戦争責任──「決戦場・沖縄本島」をめぐって
 第三節 「真の神」の到来──伊波普猷における政治的ロマン主義
 第四節 国家という場所──「海部」と「天孫」の二項対立の止揚

終章 予期せぬ「他者」の到来と、消去不可能な「政治」──〈政治神学〉としての「日琉同祖論」の脱構築

あとがき

参考文献一覧
索引