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2022.12.23

【報告】文学インタヴュー第26回 山田詠美氏(〈現代作家アーカイブ〉飯田橋文学会・公開収録)

2022年12月20日(火)14時より、現代作家アーカイヴ文学インタヴュー第26回がEAAセミナー室で公開収録された。今回お迎えしたのは、作家の山田詠美氏である。聞き手はアメリカ文学を専門とする小林久美子氏(京都大学)がつとめた。

自分自身の飢餓感、焦燥感が小説を書くことと結ばれているという山田氏は、デビュー作『ベッドタイムアイズ』(1985)のキムとスプーンの会話に代表されるように、英語で話す世界を日本語作品にしているが、それはどちらの言語でもないあいだを書く試みであるという。たとえば「耳飾り」にあとから「イヤリング」とルビを振るような書く行為そのものからたちあがってくる興味深い言語感覚も明かされた。

本インタビュー企画恒例の自選三作品として取りあげられたのは、ニューヨークでの差別経験も反映されているという『アニマル・ロジック』(1996)、欲望をすべて言葉で解明しようとした痕跡の刻まれた『学問』(2009)、糾弾されているひとたちの側に迫る態度に貫かれた『つみびと』(2019)である。それぞれ、アメリカ、少年少女の欲望、ノンフィクション・ノヴェルへの挑戦というエポックになっていることから選ばれたという。鳶職の男と女たちが描かれる「間食」の朗読には一同が聞き入った。

小林氏からの質問を受けて、山田氏からはいくつもの小説家としてのエピソードがまっすぐ答えられた。パソコンに打ち込むのではなく紙に書くスタイルであることから、あまり書き直しはしないという彼女の現在の執筆生活ができあがるまでの経緯も語られた。近著の『私のことだま漂流記』にも如実にあらわれているが、彼女の書き方が、きわめて入念かつ時間をかけたある種の取材にもとづいていること、事実に負けない文体を獲得しようとする作家としての使命感があることも明かされ、貴重な時間であった。

Zoomには100人強が参加し、長年のファンからも質問や感想が寄せられ、盛会だった。後日、インタビューの映像が飯田橋文学会のウェブサイトで公開されるので、楽しみに待ちたい。

報告:髙山花子(EAA特任助教)
写真撮影:片岡真伊(EAA特任研究員)