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2022.06.20

「開発と文学」研究会 第1回(兼準備会議)

2022年613日、今年度より新たに開始された「開発と文学」の第1回研究会(兼準備会議)が、EAAのメンバーを中心に開催された。汪牧耘(EAA特任研究員)、崎濱紗奈氏(EAA特任助教)によるこの研究会に、幹康氏(東洋文化准教授)、陳希氏(EAA特任研究員)、郭馳洋氏(EAA特任研究員)が参加してくれた。

本研究会では、一見異なる性格を持つ「文学」と「開発学」という2つの分野が、どのように「におい」というテーマに接近してきたのかという問いをもとに、新たな知を実践する可能性を模索することを目指す。研究会の企画書から一部を抜粋しよう。

社会の形を固める開発。生の幅を探る文字。この研究会は、一見異なる性格を持っている「開発学と文学という2つの分野が、どのように「臭さ」に接近してきたのか」という問いをもとに、人文知を実践する可能性を考察したい。文学作品・評論に宿っている人間の豊な感触や体験に立脚しながら、多様な匂いを許容する開発(観)、そしてそれによる新しい社会のあり方を探究することを目的とする。これは、白永瑞が「核心現場」と呼んだ場所において「近代」がどのように展開したのかを具体的かつ理論的に記述する試みでもある。

1回は、「におい」に関するこれまでの議論を網羅的に共有した上で、今後の活動の方向性を定めた。まず、汪牧耘氏(EAA特任研究員)と崎濱紗奈氏(EAA特任助教)は「におい」に着目するようになった経緯をそれぞれの体験を踏まえて紹介した。議論の中では、「におい」というテーマは脳科学、公衆衛生学、感覚人類学や都市論などといった多様な分野とのつながりが浮かび上がった。「におい」の排除・独占・隠蔽の歴史とそれによる人間の精神的・身体的許容度の低下を、自分自身の生き方を踏まえて批判的に検討する重要性を改めて感じた。次回は、沖縄文学を手がかりに、感性回復への道を踏み出す予定である。

報告者:汪牧耘EAA特任研究員)