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2023.07.18

【報告】EAAインターンシップについての所感

この文章をご覧になっている皆様、こんにちは。この一週間、EAAで研修生としてお世話になりました、石田敦子です。インターンシップの感想のまえに、まず一週間オフィスでご指導いただいたEAAの皆様へ感謝を申し上げたいです。日本では高校生の研修生を受け入れてくれるのは稀なので、私を信じてくれた皆様に心からお礼を申し上げます。

この研修体験のために初めて東京大学へ来たとき、日本のアカデミアとアメリカのアカデミアは大きく違うため、私はほぼ何も知らない状態で日本のアカデミアの世界へ飛び込みました。アジアの研究はたまたま少しだけ知っていたのですが、理解が曖昧な部分がたくさんあったため、EAAの方々と話が合わなかったらどうしようと当初は心配をしていました。

しかし、初日にEAAの方々と話しているうちに、そのような心配の気持ちは居心地のいい、好奇心に変わっていきました。研修の初日は、メンバーの皆様との交流に使われ、話しているうちに私の緊張はすぐに消えていきました。ゴミ問題やAIの発達、またAIでの生成画像の問題といった話題で、ディスカッションが盛り上がりました。

研修の二日目は、EAAメンバーが具体的にどのような研究をされているのかについて、小さなワークショップが開かれました。各メンバーは多様な研究分野を持っておられて、お互いの研究が大きく違うような内容が多かったです。例えば、お一人は美学の研究(私が研修へ来る前、何も知らなかった分野でした)で、四世代の学者を比較する研究がとても面白いと思いました。他にも何も知らなかった分野があり、そのひとつは中国の音楽の研究でした。特に興味深いと思ったのは、中国の音楽楽器に位をつける書物を見せて頂いたときでした。

ハワイと沖縄に共通するトピックは、考えさせられる点が多くありました。植民地主義によくみられる同化主義は、地元のハワイでも大きな問題です。一見あまり関わりがないように思えた研究のなかでは、漢方、環境、開発がじつは地域で深いところでつながっている、というご発表がおもしろかったです。それぞれの研究者のキャリアが、このような多彩な研究の背後にはあって、それぞれのテーマを結びつけていることがわかりました。

このように各メンバーがご自分の研究内容を具体的に教えてくださることで、私はEAAではどのような研究が行われているのかについて、だいぶ分かった気持ちがしました。また皆様の研究がそれぞれ隔たっているようで、意外と深く繋がっており、東アジア全体を深く観察するような構造になっている研究所であるところが、私が今まで見たことのあるほかの研究所と最も違うところのように感じました。

この研修で得た私の一番貴重な体験は、優秀であるだけでなくご自分の研究に情熱的に打ち込んでおられる研究者の話を聞いたり、見たり、対話をさせていただけた事だと思います。何故、どのように自分の研究を始めたか(例:化学から逃走し仏教へ到達した柳先生)を聞くと、EAAのメンバーが、いろいろな道を通って、現在は本当に自分の分野が好きで研究を続けておられる事を知る事ができました。また、私が今まで見聞してきたアカデミックな環境では、自分の考えを言う事ができなかったり、アカデミア自体にのびのびした自由さが感じられないことがあったため、EAAの雰囲気や研究環境をみて、自分の中でのアカデミアの本来の「意味」を確信する事ができました。

EAAでの研修は私にとってとても面白く、自分の中での学問の「意味」について考える貴重な体験になったと思います。この研修で得た知識・理解を、私の住むハワイでのアカデミックな環境に応用できたら素晴らしいとおもいます。この度はEAAの皆様に大変お世話になりました。また皆様と再会する機会のあることを楽しみにしております。本当にありがとうございました。

 

報告者:石田敦子