第6回日中哲学フォーラム

日本哲学会と中国社会科学院主催の「日中哲学フォーラム」は、第6回をむかえ、中華日本哲学会の協賛により広州市の中山大学で2019年9月20〜23日の日程で開かれた。「東アジアにおける哲学の受容・変化と発展」をテーマにかかげ、今回はとりわけ日本哲学に関する基調講演や発表が多く行われた。大会は廖钦彬氏(中山大学副教授)を中心に、中山大学哲学系の教員と学生の全面的な協力のもと、夏の終わりを感じさせる美しいキャンパスで、2日半に渡って活発な議論を行った。

日本側を代表して加藤泰史氏(一橋大学教授/日本哲学会前会長)が挨拶と基調講演を行い、中国側代表である王青氏(中国社会科学院研究員/中華日本哲学会前会長)の挨拶で開会した。日本哲学については、藤田正勝氏(京都大学名誉教授)、ジョン・クランメル氏(アメリカ日本哲学会会長)、嶺秀樹氏(関西学院大学名誉教授)、上原麻有子氏(京都大学教授)らが西田幾多郎や田辺元を中心とする発表を行った。EAA副院長の中島隆博(東京大学教授)は、中国語で「世界哲学としての中国哲学」の基調講演を行い、私は英語で「世界哲学におけるギリシア哲学:普遍性をめぐって」の発表を行った。「世界哲学」の理念と研究についても、日中の参加者と意見を交わすことができた。

大会は中国側60名、日本側40名程度の参加者があり、5会場に分かれて多様な研究テーマにわたって個別研究報告がなされた。私自身の発表は、西洋古代中世哲学のセッションで、司会の聂敏里氏(中国人民大学教授)や、中山大学でギリシア哲学を教える江璐氏(中山大学教授)ら専門家との議論をつうじて、日中でのギリシア哲学の研究について交流を進めた。

私は第2回から5回目の参加となるが、今回は発表者の人数など規模が拡大したことで、これまで行われてきた一般発表での日本語・中国語間の原稿の事前翻訳が行われず、そのためどちらかの言語で行われた発表で参加者が理解できない場面が多かった。本フォーラムは英語を介する間接性のデメリットを考慮し、日本語と中国語での直接議論を重視する方針をとってきたが、大きな手間と費用がかかることから今回のやり方に変わったようである。有意義な研究交流の場であるだけに、今後の大会運営に慎重な議論が必要であろう。また、不安定な情勢により、香港からの複数の参加予定者がキャンセルになったことも残念であった。

なお、東京大学からは中島氏と私の他、駒場の大学院生・山野弘樹氏が参加発表したが、他大学と比べても若手の参加が少なく感じられた。国際学会での発表機会として積極的な参加が望まれる。なお、次回は2年後を目安に東北大学で開催される予定である。

 納富信留(人文社会系研究科教授)