ブログ
2022.07.15

【報告】映画『籠城』上映会(2022年6月)

People

映画『籠城』上映会(2022年6月)

 2022年6月29日(水)17時から、駒場IIキャンパス生産技術研究所総合研究実験棟(An棟)コンベンションホール(東京都目黒区駒場4-6-1)にて、本学の藤井輝夫総長を迎え、映画『籠城』上映会をおこないました。65分の作品上映後は、制作チームとの意見交換の時間をもちました。ご自身も駒場Ⅰキャンパスで学部1、2年生時代を過ごされた藤井総長からは、映画のいくつかのカットについて具体的な質問を頂戴し、それにたいして、監督をつとめた小手川将さん、それから原案をつくった高原智史さんが応答しました。印象的だったのは、駒場Ⅰキャンパスの正門からの風景と本郷キャンパスの安田講堂を正面に据えた構図が似ていると感じた、と言っていただいたことです。東京帝国大学とおなじく駒場移転後の旧制第一高等学校の校舎も内田祥三によって関東大震災後のキャンパス整備と連動して牽引されたことを思うと、それぞれの時計台が喚起するイメージはいまもなお離れたキャンパス同士で響きあっているのかもしれません。


   
 ところで駒場IIキャンパスは駒場リサーチキャンパスとも呼ばれ、おもに理系の研究棟が立ち並んでいることで知られていますが、こちらは1930年に本郷から駒場に移転した航空研究所の敷地を引き継いだものとなっています。興味深いことに、建築の左右非対称といった特徴からは、内田祥三(1885-1972)ではなく、内田とともに安田講堂を共同設計した岸田日出刀(1899-1966)の影響を受けていると言われています。そのように、旧制第一高等学校と重なりながらも別の歴史をたたえた駒場IIキャンパスに、コンベンションホールのような映画上映にこのうえなくふさわしい空間があると知ることができたのは、ありがたいことでした。下見の段階ではほかにもS棟(60年記念館)1階にある非常に反響よくコンサートにも使用可能なホールもご紹介いただき、今後上映会のためにぜひ使用したいと思わされると同時に、キャンパス整備が大学における学生の新しい活動を後押しする可能性を強く感じる機縁にもなりました。貴重な機会をいただいたことに厚くお礼を申し上げます。

 

報告:髙山花子(EAA特任助教)

写真撮影:日隈脩一郎(東京大学大学院博士課程)