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2022.07.01

【報告】EAA「戦間期思想史を語る会」準備会(3)

   2022年624日(金)15時に、植民地期朝鮮における思想史・文学を研究してきた閔東曄氏(東京大学グローバル地域研究機構韓国学研究センター特任研究員)、郭馳洋氏(EAA特任研究員)、それから私で、前回に引き続き、EAAの駒場オフィスで、EAA「戦間期思想史を語る会」について意見交換を行なった。今回は主に広い意味での「思想史」という観点から東アジアを考え直す必要性および互いの関心事項について語り合った。
   閔氏は主に京都学派と朝鮮知識人との複雑な関係および近代朝鮮における社会主義や西洋哲学の受容について、郭氏は戦間期という時期に注目する理由について、私は同時代性という観点から近代日本、中国、韓国の思想史を語る必要性について話した。また、それぞれの研究で直面した課題についても話し合った。とりわけ共通認識となったのは、西洋の諸概念のみで非ヨーロッパ国家や諸地域の思想史を語ることの困難さと限界であった。言い換えれば、従来の哲学史・思想史、とりわけ西ヨーロッパを中心とする哲学・思想史の枠組みだけでは、日本、韓国、中国、台湾などの東アジアの国家や諸地域の実相について捉えきれない。そのため、従来の哲学史・思想史の枠組みを相対化しつつ、横の比較の視点を組み込むことで、より立体的に東アジアの国家や諸地域の思想的な連動性を浮き彫りにする必要がある。
   さらに、話し合いの途中で、「戦間期思想史を語る会」で読むテクストの選択も話題となった。石井先生の助言を受けて、それぞれの参加者が自身の専門・関心分野に基づき文献を12冊選定し、みんなでそれについて批評したり感想を述べたりして、最後に選定者がコメントする、という形で会を進めることで三人の意見が一致した。
   このようにして、「戦間期思想史を語る会」企画の中身が少しずつ具体化されてきた。近いうちにメンバー全員を集め、第一回「戦間期思想史を語る会」を開催したい。

報告:陳 希(EAA特任研究員)